昔、いまの近畿地方は山城、大和、摂津、河内、和泉の五つの国に別かれていました。その一つの摂津国は今日の大阪北部と兵庫県の一部にわたる広い地域であり、そこに江戸時代中期、月海上人によって開創されたのが摂津国八十八霊場なのです。熱心な大師信仰に支えられ、その昔は大変なにぎわいをみせていたといわれます。

明治維新の廃仏稀釈や、第二次大戦の戦火でその多くの寺院は灰燼に帰し、摂津国八十八所霊場も戦後長らく巡拝は途絶えていましたが、昭和五十五年に復興され、今日に引き継がれている。

阪神間の大都市を控え、また都心より一時間もあれば緑豊かな自然が広がっているという地理的条件の中で、この摂津国八十八所霊場も、都心の寺あり、住宅地に建つ寺あり、山奥の寺ありとバラエティに富んでいますが、いずれも伝統に彩られた心落ち着く霊場ばかりです。しかも時間的、距離的にも誰でもが気軽に巡拝できる霊場として、その魅力はいっぱいです。

 物豊かにして、心は必ずしもそれに伴って豊かとは言い難い現代、豊かな自然、史跡、文化財にふれながら、心ゆくまでじっくりとこの八十八所を巡拝する中から、また、何か得るところも大きいのではないかと思います。

摂津国八十八所霊場巡礼 あとがきより
摂津国八十八所霊場地図
摂津国八十八所霊場会・編
朱鷺書房 現在 1,500円税別
朱印帳
掛軸
(写真は四国八十八ヶ所)

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